【書評】食べることやめました:森美智代【Book Review】

タイトルからしてかなりぶっ飛んでいる本ですが、実際に著者は青汁一杯だけで何年も生活しており、順天堂大学や理化学研究所などでも調査を受けています。

そもそもこういう食生活を始めたきっかけが、「」という小脳が縮小してしまう不治の病で、若い頃に発病すると進行が早いので、だいたい10年ももたないという難病になり、甲田先生という有名な生菜食と断食療法などをやっている人の元で治療を受けだしたのがきっかけだそうです。

最初は、人並み?というかよくある断食療法をやっていたのですが、だんだんと生菜食の摂取量を減らしていった結果、最終的には青汁一杯だけの食生活に。

大学病院で検査を受けたわかったことが、なんとこの人の腸は人間ではなくて牛などのような腸内細菌の環境を構築しており、普通の人間がほとんど消化できないような食物繊維を分解する細菌や、通常は廃棄物として処理されてしまうアンモニアなどからアミノ酸を生成するような細菌が、通常の人の何十倍という割合で存在しているそうなのです。

故にタンパク質を一切摂取しないような、通常の人間だったらあっという間に栄養失調に陥ってしまう食生活でも全く痩せることもなく一日元気に活動していて、しかも日曜日は断食をするという(笑、信じられない生活をしています。

基本的には血液検査の結果も問題ないのですが、ケトースの値が高いそうです。通常だったら病気と判断されるレベルなのですが、ほかは特に問題無いですし本人も元気に生活しているのでその状態に体が適応しているそうです。

ただそういったことを加味しても、現代の栄養学的には、食物から得られるカロリーがあまりにも少ないので、どうして健康状態を保ちかつ元気に生活できているのか全くの謎。

結局、著者はその難病も克服してしまい、現在は全くの健康体でピンピンしているのですが、ほとんどの人には真似できない健康法なのが残念ですね。

本人もいっていますが、おそらく断食療法や生菜食などを行っているうちに体が徐々にそういう食生活に適応していったのだと思われます。

逆に著者は、一般的な食生活には適応できない腸内環境になっているのではないでしょうか。

それにこういう腸内環境を獲得するまでに何年も甲田先生のもとに入院したり通ったしながら生活をしていたので、普通の人が独自でやることは到底できませんし、しっかりとした経験がある人をみつけ、かつコンディションを管理をできる環境でない限り、栄養失調になってしまう可能性は高いと思います。

しかし驚くべきは人体の適応能力です。著者以外にも生菜食のみであったり超小食を実践している人はいるので、すべての人ができるわけではないにしろ、一人だけが特異的に出来ることというわけでもなさそうです。もしかしたら、きちんと時間をかけて慣らしていったら、すべての人がこういう腸内環境に適応していくことが出来るのかもしれません。もしそうなら食糧問題は解決しますね(笑。

またいかに体に共生している細菌に、人間が依存して生きているかということですね。普段はそうそう意識することはありませんが、まさに見えない縁の下の力持ちたちがいるお陰で食物が栄養に変換されて、やっていけているわけです。

 しっかり食べて体力をつけないとと思っているような人には衝撃的な本だと思います。私は断食療法の本を読んだことがあるので、真新しいものではありませんでしたが、それにしても青汁一杯の生活にはびっくりでした。

昔から腹八分目が大切と言われていますが、やはり無理にたくさん食べる必要はないんですね。基本的には菜食を心がけて、時々肉を食べるような食生活が普通の人には向いていると思います。

今、高齢者が肉を食べないせいでタンパク質不足の栄養失調が社会的に問題になっていることを考えると、100%菜食やあまりにも小食な生活には多くの人は適応できないでしょうから、野菜多めのバランスのとれた食事をお腹がいっぱいで苦しくなるほどは食べないのが大事でしょう。

他にも西式健康法の体操などが乗っているので、原因不明の体調不良に悩んでいる人などには、参考になるところの多い本だと思います。ただ断食療法は自分で勝手にやるのは危険です。一日断食程度ならまだしも、本格的なものは経験豊かなきちんとした指導者がいる環境でやるべきです。

Posted by shin

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