わかっちゃった人たち

副題に悟りについて普通の7人が語ったこととあるように、「悟った」人たちがインタビューに答えている本です。

Amazonでベストセラー1位なっているのをみて、気になって読んでみたのですが、面白い体験談ではあるものの、「この人たちは本当に悟りの境地に達しているのか?」という疑問が消えません(笑)。

そもそも悟りの状態とはなんなのか私にはわかりませんし、おそらくそういう状態にならないとわからないことなのかもしれませんが、このインタビューを読んでる限りは様々な経験をしてものの見方がドラスティックに変わっただけではないかと感も受けます。

だいたい共通して出ているキーワードが

・自分という存在は幻
・世界は一つ、自分も他人も事物も本当は一体
・思考に囚われることがなくなる
・言いたい放題言うようになった(笑)
・神秘的な体験は関係ない
・悟っても別に人生に起こることに大きな変化はない
・すべてが変わったけれども、なにも変わってない
・ものごとがどうなるか、なにも心配しない。というのも、ものごとはなるようになるだけだから

「木を見たら、私が木なんです。そういう一体性がただあるんです。」という人や、「まるで全てが自分の胸で起こっているような気がする。あの外の噴水も、自分の胸の中で起こっている気がする」という人もいました。
他の人も一体性という言葉を使っています。
そういう理屈の意味はわかりますが、この人たちは理屈ではなくそういう体験をしているのが悟りと言っています。
しかし、インタビューの他の部分を読んでいるとそういう状態にある人間が話をしているんだと感じられるものがない。
この人たちも頭で考えて、そういうことをよく考えてきたから、そういう風にだんだん世界を見るようになっていったんではないかというふうに思いました。
それにインタビューの中で矛盾していることをあっさり言ったりしてることもあります(笑)。まあ文章にして校正したわけではないのでしょうから、仕方ないのかもしれません。

達人やその道を深く掘り下げてきた人たちの本は、その言葉の端々から滲み出る凄みといいますか。
語る言葉を読んでいて、思わず本を閉じてその意味を考えてしまうような何かが湧き上がるような面白さがあったりしますが、翻訳のせいでもあるのか、この本はそういう体験が一切ありませんでした。
いかにもある種のスピリチュアルな感じというか、いろんな東洋の思想からつぎはぎされた「現代版悟りのアイディア」を語っている感が拭えません。本人たちは悟りに確信をもっているようですが、、、。

私たちは身体的な限界もあり、認識と意識の限界もあり、世界をありのままにみつめるというようなことはできません。
結局、どんな窓を覗いて世界を見るかということになってしまうので、それが仏教だろうとキリスト教だろうと無神論だろうとこの本のような「悟り」であろうと、それは個人の選択の自由なので好きにやればいいと思います。あんまりエキセントリックだと社会からはみ出してしまうので困ったことになるかと思いますが(笑)。

この人たちのような世界の見方もまた面白いかもしれません、、、が、とりあえず私にはあまりファンシーなものではありませんでした。
おそらくこの人たちは、精神科からみたら統合失調症という判定を受けかねないと思います。まあそれはラベル貼りなので本人が幸せで周りと調和して生きているなら何の問題もないとは思いますが。

ただ本としてインタビュー方式はズラズラと理論を書かれるより分かり易かった気がします。推敲されてない生の声というのは良くも悪くも現実感のあるものでした。

蛇足ですがずっと戦略コンサルタントや経営者をやってきたおじさんが、前よりずいぶんいい仕事ができるようになったと言っているので、そこのあたりに関してはもう少し深くつっこんで書いてほしかったですね(笑)。インタビュー自体もその人の語る言葉が一番楽しめました。

私にとって内容の素晴らしさを楽しむ本ではありませんでしたが、いろいろと突っ込みながら考えて読む本だったので、読む機会があってよかったと思います。

こんな読み方をする人は少ないでしょうが(笑)、この分野に興味がある人は、一度読んで見ると面白いのではないでしょうか。

Posted by shin