【サイエンスZERO】驚異のがん治療新薬:めん【がん治療】

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全く新しい作用によって癌を治す新薬

日本とアメリカですでに認可がおりて、投薬に用いられているそうですが、最初に効果が確認されたのは、ホクロの癌、メラノーマの治療に用いられた時で、転移した癌がほとんど消えてしまったケースもあったそうです。

現在でも様々な癌にどのような効果があるのか研究されているのですが、いろいろな種類の癌に、単独でこれだけの効果をみせたがんの治療法は始めてだそうで、これからのがん治療の主軸となっていくことを期待されているそうです。

どういう療法?

これは免疫細胞の働きを強めて、癌細胞を攻撃させるというタイプの治療です。以前からがんの免疫療法はありましたが、寿命は伸ばす効果はあっても薬として癌を治す効果があるというレベルのものではありませんでした。

しかし近年の研究で免疫療法がどうして効かないのかという理由が明らかになり、そこから開発されたのが新しいタイプの免疫療法です。

その名も、「免疫チェックポイント阻害剤」

薬名はニボルマブといい、数週間に一度通院して点滴を受けるという投薬のパターンです。

劇的なケースではすごい効果があるようで、転移したメラノーマが一ヶ月半で小さくなり始め、人によっては肺に転移したものが三ヶ月でほぼ見えない大きさまで縮小する場合もあったようです。

メラノーマは従来は一度転移してしまうともう数年後の生存率は・・・というレベルだったらしいのですが、この薬によって根治も可能な時代がそう遠からずと考えらているそうです。

どうして効くのか?

がんが免疫を攻撃する仕組みは、T細胞が癌細胞に取り付いて、パーフォリンという顆粒球を使ってがん細胞に穴を開けて殺すのだそうです。爆弾を投げつけるみたいなものですね。

従来の免疫療法では、この爆弾魔のT細胞の数や力を増やす方法でしたが、これはあまり効果が出ませんでした。何故かと言うとT細胞には活動を抑止するスイッチのようなものがあり、癌細胞はそのスイッチを押すことができるので、T細胞を活性化する薬を投与しても効果が得られなかったのです。

このスイッチはPD-1という名前で、簡単にオンにできるようなものではないのですが、癌細胞はPD-L1という腕のようなものを持っていて、そのボタンを押すことが出来るというわけです。

先ほどでてきた「免疫チェックポイント阻害剤」の意味がわかった方もいるかと思いますが、新しい療法ではこのブレーキを阻害する働きをしてT細胞が思う存分働ける状態をつくりだします。さきほどのニボルマブという薬は、このPD-1に蓋をしてしまって押せなくなる作用をもっています。

今までの免疫療法は、いかにアクセルを踏ませるかということに重点が置かれていたのですが、逆転の発想で、ブレーキを外すことで思う存分に免疫細胞が働く環境を作り出すことができたというわけですね。

しかも従来の抗癌剤のような副作用はないので、吐き気や脱毛といったことにはならないのですが、自己免疫疾患系の病気のような副作用、例えば甲状腺の異常や腸炎といった副作用が起きるようです。

さらにニボルマブは一旦投与すれば数年にわたって効果が持続します。通常の抗癌剤は、癌細胞を直接攻撃するので癌細胞が変異を起こすと耐性をもつようになります。

しかしこの免疫チェックポイント阻害剤は、癌細胞が変異しても効果が持続するので従来の薬と違って長期間にわたって使い続けることができます。

現時点では効果が見られるのは、2−3割の患者さんに留まっているのですが、他の治療法がない患者さんに対して2割から3割ですので、相当画期的な数字ですね。他の療法との組み合わせでは、5割程度の患者さんに効くのではないかと考えられているそうです。

今までの手術療法、化学療法、放射線療法に加えてもう一つの柱になることが期待されているそうなので、やはりかなりのレベルのブレークスルーなんですね。最近はIPS細胞を始めとして医療の大きな変化がたくさん起こっているように思います。基礎研究が一気に花開いたのかもしれませんが、やはりここ15年のコンピュータの進歩に依る部分も大きいのではないでしょうか。

今回サイエンスZEROも面白い内容でした。