青黒ドレス?白金ドレス?
一時期、ツイッター上で話題になっていたので、この画像を見たことがある人も多いと思います。
まだ見たことがない人のために簡単に説明すると、ある人にはこの画像が青黒のドレスに見えて、ある人にはこれが白金のドレスに見えるので、一体なぜなのかとネット上で話題になりました。
色が違って見える原因
まず結論からいうと脳神経学者でもよくわからないらしいです(笑)。
実際のドレスの色は青黒なのに、なぜ青黒に見えたり白金にみえたりするのか?
また白金に見えるのは脳の情報処理の問題なのですが、面白いことに最初は白金に見えている人でも、突然青黒にスイッチして見えることがあるのです。
「Current Biology」に最新の3つの研究が掲載されたのですが、このリサーチでも仮説はいくつかあるものの結局はどうしてこんなことになるのか科学的に説明はできないそうです。
青黒と白金に見える人の分布を調べると
・年齢が上になる → 白金に見える傾向
・違う文化圏 → 関係ない
・性差 → 女性は白金に見える傾向
といったような微妙な差異はあるものの、理由は不明。
朝方、夜型が関係する?
有力な説としては、「illumination-discounting – 輝度を引く補正」が関係ありそうだと考えられています。
この illumination-discounting ですが、要するに自分の過ごしている環境に多い光を間引いて輝度を調整する傾向があるということらしいです。
要するに太陽光のもとで日中過ごす割合が多いと、太陽光は青っぽい波長が多く含まれるので、青成分が間引かれて白金に見える傾向が強まり、夜型の人間は照明のオレンジっぽい光の元で過ごす割合が多いので、オレンジ成分が引かれて青黒っぽくみえる傾向にあるということです。
そこで、被験者の生活パターンを調べてみても、あんまり関連性はない・・・、といった感じ。
理屈で辻褄があるのだけれど、実際はこれであっているのかわからない。
近年の脳科学の進歩は本当に目覚ましいものがあると思っていましたが、やはりわからないこともまだまだあるのですね。
ひょっとするとこれもデイビッド・チャーマーズの言う「意識のハード・プロブレム」に属する問題で、答えにたどり着けるかどうかすらわからない問題なのかもしれません。
全ては脳みそが作り出す幻想!
今回のドレスで私の周りでも青黒に見える人、白金に見える人がいました。
視覚というのは相対的なものだとは理屈ではわかっていましたが、自分の見えているこのソリッドに感じられる現実世界が、所詮脳みそのが作り出している幻影にすぎないのだということを痛感しました。
極端な話、マトリックスの世界というのは決してお伽話ではないと感じましたね。
あまり深く考えすぎると精神病になってしまいそうですが(笑。
なんとなく普段見えている世界はほとんどのことが解明されているかのように思い込んでいますが、一歩踏み込んだ世界の根幹に関わる事柄は最先端の科学でも議論の真っ最中です。
日常生活では意識されない未解明の暗闇の部分をすっと覗いたような気がしますね。